今回紹介するのはGerman Metalの先駆者Helloweenの1998年発表の「Better Than Raw」を紹介します。

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”Helloween”は個人的に思い入れが強いバンドで、何を紹介しようか、非常に迷いました。世間的に名盤として評価されている「Keeper of the Seven Keys Part 2」でも、「Walls Of Jericho」でも「Master of the Rings」でも、全然良かったんですが、あまりに過小評価されているアルバムなので、本作を取り上げました。

個人的にコンセプトアルバムって苦手です。”Royalhunt”の「Paradox」とか、”Queensryche”の「Operation: Mindcrime」とか、”W.A.S.P.”の「The Crimson Idol」とか、素晴らしいアルバムもたくさんありますけど、ストーリー重視で曲そのものやメロディが軽視されていることが多くて、退屈になることが良くあるんですよね。 

このアルバムは楽曲の粒揃いさでは”Helloween”でもトップクラスに位置づけられると思います。

まずはオープニングの『Deliberately Limited Preliminary Prelude Period In Z』でスタートです。無駄に長いタイトルは彼ら特有の遊び心だと思いますが、シンフォニックでオープニングとしては秀逸です。

そして、”Helloween”随一のHeavyナンバー『Push』です。まさしく”Judas Priest”の『Painkiller』を彷彿させるような新メタル時代の”Helloween”って感じでひたすらカッコいいです。「German Metal」の王者がちょっと本気を出せば、並みのスラッシュ、デスメタルなんてぶっ飛ばすよって感じで爽快感がありますね。

続いては、個人的大名曲『Falling Higher』。
”Michael Weikath”の才能が久しぶりに爆発した名曲だと思います。正直、『Eagle Fly Free』とかと比較して、語られるべきレベルの曲だと思いますよ。オープニングで昇天しちゃいます。

そして、4曲目の『Hey Lord!』は”Andi Deris”らしいメロディアスハード曲。なかなか悪くないですよ。

5曲目は『Don't Spit On My Mind』。ミドルテンポでやや地味な曲ですね。少しテンション下がります。

6曲目は”Uli Kusch”作曲の『Revelation』。8分以上ある大作なんですが、あまり長さを感じさせない疾走感溢れる楽曲です。バックの強烈な演奏がたまらないです。

続いて、7曲目は”Andi Deris”作曲の『Time』です。やや暗くて、地味なんですけど、スルメ系の曲ですね。哀愁のメロディが効いていて、やっぱり”Andi”のソングライティング能力は凄いなあと思わされます。

8曲目はシングルカットされた『I Can』です。非常にポジティブな感じで、これも”Helloween”の一面である「ポップメタル」をうまく表現した曲だと思います。非常にキャッチーでライブでは大合唱間違いなしって感じです。

”Uli Kusch”のペンによる『A Handful Of Pain』。ミドルテンポでなかなか味のある曲です。

10曲目は『Laudate Dominum』。”Michael Weikath”らしい、独特の曲。あんまり関係ないですが、ラテン語で歌ってます。アルバムの中で良いアクセントになっていると思います。

11曲目はボーナストラックで”Uli Kusch”による『Back On The Ground』。まあ、それなりですね。

ラストは『Midnight Sun』。”Michael Weikath”渾身のメタル曲。新型『How Many Tears』なんても言われていますが、ちょっと言い過ぎかな、ま、普通にカッコいい”Helloween”ぽい曲です。

”Helloween”にしては珍しく遊びがない、徹頭徹尾、気合の入ったHMチェーンが聴けるアルバムだと思います。

この次の「The Dark Ride」も結構お気に入りなんですが、それ以降は個人的には厳しいですね。新作にも期待はしてますし、”Helloween”には一生期待し続けるんでしょうけどね・・・(汗)。

Better Than Raw
Helloween
Castle
2008-02-26