今回のアルバムレビューは”The Beach Boys”の1966年発表の11th Album「Pet Sounds」を紹介します。

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”The Beach Boys”というと『サーフィンUSA』や『Kokomo』が代表曲でサーフィン&ホットロッドと呼ばれるウエストコーストロックの代名詞的なバンドです。

中心メンバーである”Brian Wilson”は当時、”The Beatles”の1965年発表の『Rubber Soul』の実験的な音楽に影響を受け、その対抗心から、ロック史上に残る名盤を完成させました。名義は”The Beach Boys”ですが、実質的には”Brian Wilson”のソロアルバムです。

出来上がった音源をメンバーに聴かせた時に、メンバーから「誰がこんなアルバムを聴くんだ? 犬か?」と言われたのがきっかけで「Pet Sounds」という表題になったという逸話は有名ですし、あまりに音楽性の違うアルバムを発表することに心配したレコード会社が同時期にベストアルバムをリリースするなど、とんでもないこともありました。

現在ではROLLING STONE誌の「Rolling Stone's 500 Greatest Albums of All Time」では”The Beatles”の「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」に次ぐ2位に選出されている名盤となりました。

ではレビューです。

1曲目『Wouldn't It Be Nice』(邦題:素敵じゃないか)。最近、映画『陽だまりの彼女』の主題歌として採用されたり、CMなんかでも使われていますので、ご存じの方も多いと思いますが、名曲ですね。これは”The Beach Boys”の名義でも全然通用する曲だと思いますが、もの悲しさがうまくミックスされているのが良いですね。

2曲目は『You Still Believe In Me』(邦題:僕を信じて)。ここから”Brian Wilson”の内省的な音世界がスタートすると言って良いでしょう。爽やかな曲なのですが、なぜかもの悲しさが残ります。

続いて『That's Not Me』。これも明るい感じの曲調なんですけど、暗さや悲しさが全面に出てきます。

『Don't Talk (Put Your Head On My Shoulder)』。これは完全に暗いですね。自閉症というか、暗闇の中で泣きながら子供が歌っているような感じですね。非常に悲しい思いになります。

5曲目は『I'm Waiting For The Day』(邦題:待ったこの日)。急に軽快なパーカッションで始まりますが、暗くなったり、明るくなったり、なんか情緒不安定な感じがする変な曲です。意味深な流れですね。

続く『Let's Go Away For A While』(邦題:少しの間)。これも暗い曲です。インストルメンタルと言っていいのかな?

そしてA面ラストの7曲目『Sloop John B』。これは”The Beach Boys”っぽいナンバーですね。良いアクセントになっていると思います。

そしてB面のスタートであり、8曲目の『God Only Knows』(邦題:神のみぞ知る)。シンプルなミドルテンポの曲ですね。彼ららしい曲調ですが、アルバム全体に通じる”もの悲しさ”が表現されていると思います。

続くは『I Know There's An Answer』(邦題:救いの道)。こちらも一見明るそうなんですけど、暗い印象ですね。

そして10曲目『Here Today』。少し曲調が変わりますが、悲しいメロディが心を打ちます。

11曲目の『I Just Wasn't Made For These Times』(邦題:駄目な僕)。こちらは更に悲しさが募るような曲ですね。良いメロディなんですが、悲しすぎて、そこまで好きになれないかな。良い曲なんですけどね。

タイトルトラックの『Pet Sounds』。B面は非常に内省的で暗い展開が続きましたが、少し明るさを取り戻した感じです。ヘンテコ? 実験的な演奏が不気味なんですけどね。

ラストは『Caroline, No』。ここで悲しさが極まる感じです。バックに流れる何の音でしょうか、『ポワーン』という音が更に悲しさを際立たせている感じです。車のクラクションと走行音で終了しますが、後に残るのはもの悲しさや寂しさです。レクイエムみたいな感じですね。

僕は『Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band』が世界最高のコンセプトアルバムだなと思っていましたが、『Pet Sounds』を聴いてからはこちらに軍配を上げますね。それだけコンセプチュアルでトータルでのメッセージが強いアルバムだと思います。改めて曲単位でレビューするのが空しい感じすらしました。

若い音楽ファンからすると音源の古くささが若干ネックになりそうですが、そのコンセプトアルバムの完成度、1曲1曲の持つ力を感じて欲しいです。

40周年の豪華盤もリリースされていますが、アウトトラックもなかなか良い出来ですよ。

ペット・サウンズ
ザ・ビーチ・ボーイズ
ユニバーサルミュージック
2012-07-25