今回の名曲レビューは”井上陽水”の1993年発表の33th Single『Make-up Shadow』を紹介します。

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”井上陽水”と聴くと僕の中では3枚のアルバムが浮かんできます。

「陽水ライブ もどり道」
「氷の世界」
「9.5カラット」

「陽水ライブ もどり道」はLPレコードを親戚にもらって、初めて聴いた”井上陽水”のアルバムでした。初期のベスト的な選曲でしたので、喜んで聴いてました。『夏まつり』、『愛は君』、『人生が二度あれば』、『傘がない』、『東へ西へ』、『夢の中へ』・・・名曲満載なのですが、感想は「暗い」でした。でもラストの『夢の中へ』がやたら無邪気で、明るくて、その「落差」が強く印象に残りました。

その後、「氷の世界」を購入します。本作は日本のアルバムで初めてミリオンセールスを記録し、1974年、1975年と2年にわたり、オリコンのアルバムチャートの年間1位を記録した”お化け”のようなアルバムです。勿論、後追いで聴いたのですが、タイトルトラック『氷の世界』やヒット曲『心もよう』などを柱にコンセプト的なアルバムでフォークの枠には収まらない素晴らしいアルバムで愛聴してました。

そして、リアルタイムで購入した「9.5カラット」です。「氷の世界」で押しも押されぬトップアーティストになった”井上陽水”はフォーライフ・レコードを発足、離婚、大麻所持で逮捕など、停滞期に入ります。その後、『なぜか上海』、『リバーサイドホテル』などの名曲をリリースしますが、さほどセールスは伸びませんでした。そんな中、”井上陽水”のバックバンドを務めていた”安全地帯”が大ブレイク、当時のトップアイドル”中森明菜”に提供した異色の名曲『飾りじゃないのよ涙は』が大ヒット。自身の『いっそセレナーデ』もヒットし、セルフカバーアルバムとして、「9.5カラット」がリリースされます。作詞を手掛けた”安全地帯”の『ワインレッドの心』、『恋の予感』、妻”石川セリ”に提供した『ダンスはうまく踊れない』、”水谷豊”に提供した『はーばーらいと』なども収録され、本作は1985年に年間チャートで1位を記録し、完全復活を遂げます。

その後、ロングヒットでミリオンセラーを記録した名曲『少年時代』のリリース、『リバーサイドホテル』のリバイバルヒットを挟み、リリースされたのが『Make-up Shadow』です。本作はフジテレビのドラマ主題歌にもなりましたが、リリースから10年以上も経過した2006年にトヨタのCM曲にも採用されます。

”井上陽水”の魅力を一言で語るのは難しいですが、個人的には彼の艶のある独特の歌唱がその一つだと考えています。本作は名作曲家、アレンジャーである”彩目映(佐藤準)”の作曲・編曲ですが、”井上陽水”のイメージを驚くほど上手く捉えた楽曲になっていると思います。お洒落でスマート、それでいて艶があってエロい・・・褒め言葉ですが、軽快な曲調に美味しいメロディが乗って、最高の仕上がりになっています。

その後、”井上陽水”はリリースのペースを落としますが、”PUFFY”への楽曲提供、BEST ALBUM「Golden Best」も大ヒット、カバーアルバムをリリースしたり、最近では「氷の世界」の全曲披露ライブを行うなど、まだまだ活躍されています。

テレビでお見かけすることもグッと減りましたが、希代のボーカリストであり、日本の音楽シーンを語る上で、外すことができない”井上陽水”の素晴らしい楽曲は必須で聴きましょう。『少年時代』も名バラードだけど、僕は『Make-up Shadow』こそ、”井上陽水”らしい名曲だと思ってます。

GOLDEN BEST
井上陽水
フォーライフ ミュージックエンタテイメント
1999-07-28