今回の名曲レビューはアメリカのロックバンド”Boston”の1986年発表の3rd Album「Third Stage」収録でシングルカットもされた『Amanda』を紹介します。

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皆さんはバラードは好きですか?

個人的に”itunes”にもバラードだけのセットリストを作ったりして、聴いているんですが、本当に良いバラードってなかなか当たることがないですね。1回聴いて、「良いよね」と思っても、聴き込んでいくと「うーん」となる曲も多くて、常にセットリスト候補の楽曲を探している感じがします。

今回紹介する”Boston”は天才”Tom Scholz”のソロプロジェクトです。その音楽性はアメリカンハードロックというか、初期はプログレっぽい雰囲気もありますが、”Journey”なんかと同じように産業ロックのカテゴリーで語られることも多い音楽ユニットです。

”Tom Scholz”はマサチューセッツ工科大学で電子工学を専攻し、エンジニアにもなったエリートですが、その音楽は緻密で一切の妥協がないもので、1976年発表の1st Album「Boston(邦題:幻想飛行)」は全米3位を記録し、現在まで1,800万枚のセールスを記録しています。1978年には2nd Album「Don't Look Back」を発表し、全米1位を記録し、人気を博します。

その後、完璧主義者”Tom Scholz”は次のアルバムのレコーディング作業が長期化し、遂にはレコード会社に契約不履行で訴えられるという異常事態へ。”Tom Scholz”はその間、Rockmanブランドのギターアンプやエフェクターを開発したりと唯我独尊という感じで、ひたすら一人で作業に没頭します。尚、それらアンプ制作なんかも”Boston”で分厚いギターの音が出せるように開発したというのですから、ミュージシャンの枠を完全に飛び出しています。

そんな中、長すぎるインターバルを置いて、8年後の1986年に3rd Album「Third Stage」がようやく発表されます。シングルカットされた『Amanda』は全米で3週連続1位を記録し、アルバムも全米1位を記録します。

また『Amanda』はMTV全盛のアメリカにおいて、ビデオクリップも制作されず、1位を獲得した楽曲として有名だったりします。

”Boston”はデビューから30年のキャリアですが、オリジナルアルバムは5枚です。ファン泣かせなのでしょうが、天才であり奇才”Tom Scholz”の残している音源は素晴らしいです。

いろいろと好きな曲はありますが、僕がダントツで好きなのは『Amanda』ですね。完璧なバラードってまさしくこういう曲だねという理想型だと思います。当然、楽曲の作詞作曲、プロデュースも”Tom Scholz”によるものです。

一音たりともムダのない緻密なバックトラックに甘い”Brad Delp”のVoが乗り、素晴らしいメロディックなフレーズのギターが舞い、ブリッジでも強力なメロデイで盛り上がります。”Brad Delp”は55歳の若さで急逝しますが、完璧主義者”Tom Scholz”に認められたVoということで、凄みを感じてしまいますね。

尚、”Tom Scholz”自身もこの『Amanda』の仕上がりには相当満足したみたいですが、こういう名バラードってなかなか遭遇できませんが、こういうバラードこそ、結婚式なんかで定番になって欲しいですね。

日本人にはまだまだ知られていない名曲だと思いますが、もっともっとメジャーなバラードとして認知されて欲しいなあ。

P.S.改めて、3回くらい聴き直しましたが、一縷の隙もない名バラードでした。

サード・ステージ
ボストン
USMジャパン
2011-10-12