今回のアルバムレビューは”Alien”の1988年発表の1st Album「Alien」を紹介します。

ALIEN1

前回のアルバムレビューでは”Europe”の「Wings Of Tomorrow」を取り上げましたが、今回も「北欧メタル」の名盤を紹介したいと思います。

”Europe” 「Wings Of Tomorrow」
http://burning.doorblog.jp/archives/45897984.html

”Alien”(エイリアン)はVo:”Jim Jidhed”、G:”Tony Borg”を中心に結成された、スウェーデンのイエテポリ出身のバンドです。

音楽的には決して恵まれた環境ではなかった彼らなのですが、何と大手レコード会社「Virgin」と契約するという、シンデレラストーリーを歩みます。しかしながら、”Jim Jidhed”がソロアルバム制作のため、脱退。バンドは”Madison”の”Pete Sandberg”を加入させ、オリジナル盤(下部にある氷山ジャケ)から『Wings Of Fire』、『Dreamer』、『Dying By The Golden Rule』、『Mirror』の4曲をカットし、”Pete Sandberg”がVoを務める新曲『The Air That I Breathe』、『New Love』を追加、曲順も変更し、更に残りの楽曲にはリミックスを施し、ワールドワイドなデビューを飾ります。(上の赤ジャケ、US盤で青ジャケもあり)”The Marbles”のカバー『Only One Woman』をヒットさせますが、大幅なメンバーチェンジをし、2nd Album『Shiftin' Gear』を制作しますが、内容的にはなかなかの秀作でしたが、ヒットには恵まれず、せっかくのメジャーディールを失います。

その後も”Tony Borg”を中心に再結成し、ハードポップの名曲を生み出していますが、北欧美旋律ハードポップの名盤となると1st、2ndに尽きると思います。2ndも良盤で佳曲揃いですが、メタルっぽい雰囲気がほとんど感じられず、AORっぽくて、HM/HRファンにとってはツカミが悪い感じがするので、1stを紹介することにします。

01. 『Brave New World』:ミドルテンポのメロディアスハードロック。1曲目としてはややツカミが弱いですが、サビのメロディの美しさはなかなかで、胸が締め付けられます。ギターソロもカッコイイ。尚、リミックス盤では7曲目に収録されています。

02. 『Tears Don't Put Out The Fire』:同様にミドルテンポのメロディアスなナンバーです。最初のAメロからメロディの洪水って感じで、素晴らしいですね。Bメロ、サビと完璧ですね。スピーディーでカッコイイ名曲『Go Easy』が取り上げられることの多いアルバムですが、こういった曲があるのも大きな魅力だと思います。尚、リミックス盤では1曲目に収録されています。

03. 『Go Easy』:キラーチューンですね。”Alien”の代表曲であり、北欧メタルを代表する名曲と言って良いでしょう。スピーディーでメロメロでノックアウトされること必至の名曲です。尚、本作は”FAKE I.D.”の”Pamela Moore Barlow”と”Janet Morrison Minto”による楽曲なのですが、そんなこと関係なく、素晴らしいですよね。これは聴かずと死ねないですよね。尚、リミックス盤では2曲目に収録されています。



04. 『I've Been Waiting』:こちらもメロディアスなミドルテンポの楽曲です。サビ前からサビへのメロディがクサ過ぎますね。弾きまくりのギターソロも素晴らしいですね。似たようなテンポ、曲が並びますが、聴き応えがありますよね。尚、リミックス盤では3曲目に収録されています。

05. 『Jaime Remember』:少しスピードが上がりますが、相変わらずのメロディアスな楽曲ですね。力強いサビ、ドラムが印象的ですが、アルバムの中ではメロディ的には弱いほうになるかな。十分良い曲なんですけどね。中盤のインプロっぽい展開からメロディアスなソロへ移行する流れが”Rainbow”を思い出します。尚、リミックス盤では4曲目に収録されています。

06.『Feel My Love』:個人的キラーチューンで本作で最もお気に入りの曲です。世間的にはあまり評価が高くないのが残念ですが、これほど、メロディアスな楽曲ってなかなかないように思いますね。特にサビ前~サビの部分は僕のツボを突きまくってくれて、聴くたびにノックアウトされますね。こんなに良い歌なのになあ。尚、リミックス盤では5曲目に収録されています。



07. 『Only One Woman』。先述した通り、”The Marbles”のカバーです。後に”Rainbow”に加入する”Graham Bonnet”の唯一無二の大ヒット曲でもありますね。母国スウェーデンでもこの”Alien”のバージョンが大ヒットしたみたいですね。良い曲ですが、HM/HRの要素はないです。個人的にはまあまあって感じですね。尚、リミックス盤では6曲目に収録されています。

08. 『Wings Of Fire』:爽やかなAOR風味の楽曲。やや明るめの曲調ですが、全然悪くないですよね。まあ、メロディ的には少し落ちるかもしれませんけどね。何故、リミックス盤で収録曲から外されたのか、良くわかんないですね。アメリカでは結構受けそうな感じがする楽曲だと思いますけどね。

09. 『Dying By The Golden Rule』:この曲もリミックス盤で外されたのが良くわからない佳曲ですね。雰囲気的にも本作にうまく馴染んでますけどね。まあ、どうしても新曲を収録したい事情があって、それでやむなくってことなのかな? 相変わらずギターソロは聴かせてくれますね。

10. 『Touch My Fire』:本作では比較的ドラムが目立っているハードロックぽさのある曲ですね。残念ながら、メロディ的には薄味でちょっと残念な感じがしますね。尚、リミックス盤では9曲目に収録されています。

11. 『Dreamer』:スピードナンバーですね。”Europe”の『Scream Of Anger』とか”Biscaya”の『Howl In The Sky』なんかに近い、クラシカルな感じで、本作で最も北欧メタルっぽいナンバーだと思います。本作が好きだというマニアが多いのは良くわかります。個人的にはもうちょっとメロディが欲しいかな。こちらもリミックス盤ではカットされてます。(まあ、カットされる理由が良くわかります)

12. 『Mirror』:ミドルテンポで北欧っぽい湿り気のある暗めのパワーバラード。幻想的な雰囲気もあり、メロディもまずまずですけど、個人的にはちょっと退屈ですね。 ギターソロは素晴らしいですし、ここが聴き所かな? こちらも残念ながらリミックス盤ではカットされています。

<リミックス盤のみ収録>  Voは”Pete Sandberg”です。

08. 『The Air That I Breathe』:どこかで聴いたことがあるメロディラインなんだけどなあ。思い出せないなあ。結構好きですよ。なかなかの佳曲だと思います。リミックス盤でずっと聴いてて、Voが変わったって違和感は感じず、普通に聴いてたなあ。しっかり聴くと分かるんですけどね。

10. 『Now Love』:明るい曲調でアメリカンロックっぽい曲ですね。”Pete Sandberg”のVoの魅力が出ているように思います。ブリッジからのギターソロがなかなか良いです。

やっぱり個人的には『Feel My Love』、『Go Easy』、『Tears Don't Put Out The Fire』かなあ。まあ、ツマンナイ曲は皆無ですしね。これは買っときましょう。オリジナル盤に拘るマニアも多いと思いますけど、僕はリミックス盤を長年聴いていたので、リミックス盤のほうが馴染みがあって、好きですね。音はリミックス盤のほうが遙かに良いです。

いずれもオリジナル盤は入手困難ですが、リマスター盤、「25th Anniversary Edition」は比較的入手が容易だと思われるので、サッサと買っておきましょう。この手のアルバムは再発されてもすぐ廃盤なっちゃいますからね。僕は元々リミックス盤である国内盤を持っていて、更に再発のオリジナル盤、そして「25th Anniversary Edition」を購入しましたが、それだけの価値あるアルバムだと思いますよ。

オススメ!

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2013-05-27




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2013-10-07