”乃木坂46”の全曲レビューシリーズの第26弾です。

シングルも遂に20thですね。20枚目の節目で、”乃木坂46”の主人公”生駒里奈”の最後のシングルでもあり、グループとしても歴史的に重要な一枚になりますね。昨年は人気が爆発し、ミリオンヒットを連発、女性アーティストではトップのライブ動員数を記録、写真集のランキングも上位を独占と・・・2017年は”乃木坂46”の年だったと言っても過言ではないでしょう。(妹グループの”欅坂46”の勢いも凄かったけどね)しかも、年末には「日本レコード大賞」まで受賞しちゃうんですからね。トップアイドルとして、どんな展開を見せるのか、20thも楽しみですね。

【乃木坂46】 「第59回日本レコード大賞 大賞受賞!!!」

尚、CDは発売日の前日にAMAZONから届いてましたが、Type-Aのみ発売日に到着と結局、週末まで聴き込みができず、遅くなり失礼しました。勿論、全タイプ購入です。

今回のジャケは面白いね。Type-Aって”乃木坂46”流の『Abbey Road』だし、通常盤も”YMO”の『ソリッド・ステイト・サヴァイヴァー』を意識してるよね?

恒例の生写真は”若月”、”向井”、”かりん”、”吉田”という三期生多めのラインアップでした。ではレビューいきましょう!

20th Single『シンクロニシティ』(2018年)

全曲レビュー『シンクロニシティ』

『シンクロニシティ』(表題曲)



「★★★★」。

既にMV公開でフライングっぽく評価してますけど、評価がかなり難しいタイプの曲で悩みました。

【乃木坂46】 20th Single「シンクロニシティ」MV公開中!
http://burning.doorblog.jp/archives/51831803.html

スルメ曲と言えばそうなんですけど、ツカミも悪くないし、構成力が凄いんですよね。『シンクロニシティ』というタイトル通り、かなりメロディがシンクロするような感じで構成を組み立てているのが凄いし、感覚的ではなく、かなり考え尽くして曲を組み立てているのは明白です。

実は誰が作曲したのかはかなり気になってたんですけどね。クレジットを見ると”坂道シリーズ”では”欅坂46”の『風に吹かれても』以来となる”シライシ紗トリ”さんでした。(”乃木坂46”では過去に『狼に口笛を』、『音が出ないギター』のアレンジ以来です)”ORANGE RANGE”などのプロデュースでも有名なクリエーターですけど、彼の凄味を改めて感じさせられましたね。曲先でしょうから、”秋元康”さんが上手くタイトル、詞をつけたんでしょうけど、かなりシンクロさせていてアーティスティックな仕上がりになっているんじゃないかな?

最初の印象はいまひとつっぽい感じでしたが、改めて聴き込むとかなり出来も良いし、ライブでも結構いい感じで盛り上がったので、「★★★★★」の満点評価も頭をよぎりましたが、ファーストインプレションを重視し「★★★★」にしました。聴き込んでこそ、味わいが増幅していく曲なので、これから更に評価は上がっていく気がしますけどね。でもこの冒険は評価したいね。やっぱり”シライシ紗トリ”は只者じゃないね。

MVは綺麗な映像ですが、ストーリー性がないタイプなのでそんなに好みではないです。とはいえ、三期生の4人が選抜常連メンバーと上手くシンクロしていて、新生乃木坂のフレッシュさを感じる一方、相変わらずのメンバーの層の厚さを見せつけられるのが圧巻です。”白石”の表情、演技もなかなか堂に入っているし、”生駒”の卒業を匂わせるシーンも良いんだけど、個人的には”桃子”が1シーンで全開で笑顔で映っているのが印象的でした。

妄想入ってますが、彼女が新たな乃木坂の主人公になっていくのかなとしみじみと考えちゃいました。

『Against』(全タイプ収録)

 

「★★★★」。

センターを”生駒里奈”が務め、一期生のみの楽曲となっています。ある意味、”生駒”の卒業シングルとして表題曲でリリースしても良いだけのクオリティを持つ曲だと思います。

卒業コンサートの後のネットの書き込みでも評価されている方が多かったし、改めて音源で聴くとカッコいいし、2018年版の『制服のマネキン』と呼んでもいいんじゃないかな?

表題曲『シンクロニシティ』が耳触りの良さ、キャッチーさを持ちつつも、その構成力でジワジワとハマらせる中毒性がある曲なのに対して、『Against』は分かりやすいキャッチーなメロディで、程よいロックテイストでスポンタニアスな印象がしっかりと刻まれる感じである意味対照的なのも面白いですね。(深読みかな)

作曲を手掛けているのはレギュラー作曲家とも言えるソニーミュージック所属の”古川貴浩”さんです。『月の大きさ』、『やさしさとは』、『制服を脱いでサヨナラを…』、『大人への近道』、『Threefold choice』に続く楽曲で、本シングルでは『新しい世界』の作・編曲も手がけられています。

MVも曲のイメージに合ったダンスを中心にしたカッコいい仕上がりで良いですね。

『雲になればいい』(Type-A収録)

「★★★」。

新ユニット”藤桜梨(ドンウォーリー)”の楽曲です。”生田”、”衛藤”、”桜井”という組み合わせです。”生田”のややぶっきらぼうな感じのVocalが印象的です。

なかなかのメロディを持つ佳曲です。バラードといえばバラードなんですけど、それこそ”けやき坂46”の『それでも歩いてる』のような感じで歌をしっかり聴かせるように、アコギ主体でかなりシンプルな音作りになっています。

作曲は”乃木坂46”ではお馴染みのソニーミュージック所属の作曲家”丸谷マナブ”さんですね。『もう少しの夢』、『ないものねだり』、『三番目の風』を手掛けられています。”AKB48”の一連のヒット曲の方が有名かな。『永遠プレッシャー』、『ラブラドール・レトリバー』、『11月のアンクレット』も彼の作品です。

「★★★★」でも良かったかもね。

『新しい世界』(Type-B収録)



「★★★」。

アンダー楽曲です。”鈴木絢音”がアルバムのリードトラック『自惚れビーチ』に引き続いてセンターを務めています。しかも三期生が初めてアンダー楽曲に参加しているんですよね。今までは完全にアンダーと三期生と切り分けていたのに。これが本シングルの一番のサプライズかもしれませんね。

暗めながら、味わい深いメロディを持つ曲ではありますが、”古川貴浩”さんらしさを感じるというか、彼の過去の提供曲のフレーズがシンクロする感じもあります。

サビ前のストリングスの使い方がかなり効果的で良いし、ブリッジの展開も素晴らしいね。悩んだけど、こちらも「★★★★」でも良かったかも・・・。

MVは”堤幸彦”監督作品の「ケイゾク」、「SPEC」のようなコマ割りの多いシリアスタッチの映像でしたが、”横堀光範”監督の作品でした。まあまあって感じですかね。三期生が入ったことでガラッとアンダーの雰囲気が変わるのも面白いね。

”絢音”ちゃんは完全に次の選抜候補になったんじゃないかな?

『スカウトマン』(Type-C収録)



「★★★★★」。

二期生による楽曲でセンターは”堀未央奈”が務めています。尚、”北野”はレコーディングには不参加でMVのみの参加となっています。二期生曲は『かき氷の片想い』、『ライブ神』に続く、3曲目か・・・。

正直、このタイプの曲調は僕はそんなに得意じゃないのもあって、二期生には期待しているのに「またか・・・」って最初は思ったんですけどね。

でも・・・イヤイヤ、この曲はかなり良いというか、最高じゃない?

下手したら、今回のシングル曲で一番好きかも? ブルージーな感じのメロディで音作りもカッコいいし、このリズムとループにドハマりしちゃってますね。僕はメロディ派の音楽リスナーなんですけどねえ。気が付けばこの展開がクセになっているし、ヤバイっすね。アレンジもかなり効果的で僕のツボに刺さりまくりです。

いやー、参った。(卒業コンサートで聴いた時もそこまで印象が良くなかったんだけどね)

このハマり具合を勘案し、自分でもまさかの「★★★★★」の満点評価です。

過去の”SaSA”の作る楽曲の魅力を理解できず、低評価を続けてきて申し訳ない感じがしましたね。『満月が消えた』、『ライブ神』も改めて聴き直してみようと思ったくらいです。(でもこの2曲は僕には厳しいかな~)

MVも”中村太洸”監督の静止しているメンバーがリップシンクする独特の世界観でなかなか面白いです。このリズムトラックでこのMVにしようと思う発想は本当に凄いね。引っ張って引っ張って最後にカラフルな衣装で衣装で楽しそうに踊る姿も効いてますし、オシャレな感じの小道具も良いよね。

いろいろと書いたけど、『スカウトマン』最高!

『トキトキメキメキ』(Type-D収録)



「★★★★★」。

三期生による楽曲ですね。センターは最年少メンバーの”岩本蓮加”が務めています。”乃木坂46”の未来を握る三期生の楽曲も毎シングル収録されていて、既に5曲目か・・・。(二期生曲も巻き返しているけど、ようやく3曲目だもんね)

何のヒネリもないアイドルポップなんだけど、ダメだなあ。大好きです。新フロントの三人のバランスも良いんじゃないかな。

三期生曲で初めて「★★★★★」の満点評価をつけちゃった。

ひたすら明るくてキャッチーでメロディも良いし、最高だね。『スカウトマン』とは違うけど、これはこれで素晴らしいと思います。サビが可愛くて良いよね。アレンジも洒落てますね。

作曲は”中山聡”さんと”足立優”さんの共作です。僕が満点評価をつけた『君が扇いでくれた』の作曲以来か・・・。しかしセンスあるなあ。

MVも躍動感があって、楽しい作りで良いよね。”伊藤衆人”監督はハズさないよね。三期生は本当に全員センターを経験させて欲しいね。

『言霊砲』(通常盤収録)

「★★★★★」。

新ユニット”いもうと坂”の楽曲でメンバーは20thシングル選抜の三期生”大園”、”久保”、”山下”、”与田”です。実質的に本シングルに三期生曲が2曲収録されているということか・・・。

しかし『スカウトマン』、『言霊砲』というタイトルは「文春」へのアンチテーゼなんだろうけど、ストレート過ぎないかな? 天才”秋元康”さんもいろいろと不満が溜まっているということなのか、悪ふざけなんでしょうか?

曲はタイトルと全く関係ないような能天気に楽しめるアイドルポップでかなり出来が良いです。メロディも良いし、弾けるような溌剌さ、フレッシュさもあるし、僕は結構好きです。

評価は悩んだけど、こちらも「★★★★★」の満点評価にしちゃいました。

作・編曲のクレジットは”Ryota Saito、TomoLow”となっていますが、全然情報がないな。”Ryota Saito”さんは「HOVERBOARD」に所属されている方で慶応出身のエリート作曲家さんで”Kis-My-Ft2”にも楽曲提供されているみたいですね。”TomoLow”って誰?

特典映像はMV以外では「旅する3人〜最高のお土産を探して〜」が7本と三期生の個人PVです。

金沢編:白石、松村、若月
松坂編:衛藤、樋口、与田
高知編:桜井、西野、新内
京都編:生駒、生田、星野
青森編:井上、堀、久保
山口編:高山、寺田、山下
宮崎編:秋元、飛鳥、大園

一泊二日の小旅行のような感じで20th選抜メンバーの三人がお土産探しを名目に、楽しそうにしているのを見る感じです。(元々は46時間TVの企画だったのかな?)スケジュールもない中、忙しいメンバーの慰労も込めて企画を考えたんだろうけどね。ワチャワチャしながらも、楽しそうなメンバーの素が垣間見れるのは良いよね。珍しいメンバーの組み合わせもあるし、企画としてはかなりヌルイけど、これはこれでファンには嬉しいんじゃないかな?(ファンには巡礼スポットが一気に増えたのも良いんじゃない? 大変?)

僕は旅行好きなので行ったことがあるスポットもあるけど、旅行に行きたくなってきたな!

寿司屋の予約だけで大盛り上がり、兼六園で異様にテンションの高い三人も面白い金沢編。久しぶりのボローンは必見かな? お茶屋通りでみんなに見つかっちゃうのも面白いね。「NOGIBINGO!」の特典映像から大きく変わったよね。のどぐろは僕も大好きだけど、本当に旨いんだよね。

松坂編はナガシマスパーランドから松坂牛を堪能し、翌日は伊勢神宮と最高のコースだね。こんな美味しそうな肉だとお酒飲まないといられないよね。いやー食べたいね。本場の松坂は1回だけ仕事で行ったことあるけど、遅い時間になってお店が閉まってて、食べられなかったんだよね~。

高知編は観光スポットをいろいろと巡るんだけど、見どころ少なめだった気がリアルな旅行に密着している感じですね。日本酒で伊勢海老は良いな~。うどんを捏ねながらのダンスはなかなか面白かったかな!

”生生星”は函館に行く予定だったようですが、天候の問題で京都になったようです。京都に住んでいたこともあるんだけど、保津川下りは行ってないんだよね。楽しそうだったね。カラオケで『三番目の風』等”乃木坂”の曲を歌うのは面白いね。『ここじゃないどこか』を歌うのは感動的! ラストの『ぐるぐるカーテン』での締めも良いね。やっぱり改めて感動しちゃうね。”生生星”はこれで最後か・・・。

青森編は雪が凄く積もっている中で浴衣を選んだり、足湯に行ったりと珍しい3人の組み合わせも面白いね。

山口編の秋吉台は僕もオススメです! ヘリも楽しそうだったね。ふぐも美味しいよね。

宮崎編の高千穂峡は行きたいんだけど、今回の映像見て、益々行きたくなったな。ボートもトロッコも楽しそうだったね。大園家でのバーベキューやトランプはほっこりするね。トングで指が抜けなくなった秋元には「やったな?」って感じでしたけどね。

三期生の個人PVですね。僕のお気に入りはダントツで”楓”ちゃんの「わたしのわたし」ですね。シナリオも良いし、”佐藤克則”監督は凄いな~。今回の中では圧倒的な出来だと思います。

「じゃーん」、「YO!」を上手く使った歌モノの”岩本”、ひたすら面白い”大園”、着想は面白いんだけど、もうちょっと笑いが欲しかった”与田”など、全体的なクオリティは高いし、三期生の演技も舞台の経験も重ねて、今後も期待できそうな感じだね。

最後に20thシングルの総括です。

18th、19thについては、楽曲が「乃木坂らしさ」はあるものの、冒険してないとやや辛めの評価をしていたのですが、今回のシングルは表題曲をはじめ、ちゃんとチャレンジしていて、アッパレですね。その意味でも20thシングルは音楽的にかなり楽しめるシングルになりましたね。

「★★★★★」が3曲に、「★★★★」が2曲か・・・。”乃木坂46”のシングルの過去最高得点を更新しそうで、『雲になればいい』、『新しい世界』を「★★★」にしたけど、それでも平均で「★★★★」を軽く上回る高評価となったなあ。(尚、5th、11thが過去最高で平均で4.33点)

レコ大受賞に東京ドーム公演に、”乃木坂46”の主人公”生駒”の卒業と、坂道の頂上はそろそろと思ってましたけど、今回の楽曲の充実度は嬉しいサプライズだなあ。

一期生、二期生、三期生とバランス良い楽曲の割り振りに謎のユニットとまだまだ面白い展開が待ってそうだな。

卒業による別れはこれからもまだまだあるんだろうけど、主力が一期生から三期生へシフトしていく中、二期生が意地を見せていければ更に選抜は激戦になるだろうし、まだまだ面白い展開が期待できそうだね。”絢音”を筆頭に、そろそろ”琴子”にもチャンスが来てほしいな! 

既に異論が唱えられないレベルでトップアイドルに君臨した”乃木坂46”ですが、守りに入るのではなく、アーティスティックな楽曲で勝負しているのも良い判断だし、益々の活躍を期待したいし、全国握手会のミニライブもそうだけど、ライブが楽しみだなあ。

とにかく音楽ファンには一度試してもらいたいね。特に『スカウトマン』は聴いてほしいな。『トキトキメキメキ』と『言霊砲』はアイドルポップだから好みが分かれるだろうけど、『シンクロニシティ』と『Against』もチェックして欲しいです。