今回の名曲レビューは”森田童子”さんの1976年発表の2nd Single『ぼくたちの失敗』を紹介します。

森田童子 『ぼくたちの失敗』

シンガーソングライターの”森田童子”さんが2018年4月24日、心不全のため自宅でお亡くなりになったそうです。66歳の若さということで悲しいですね。

1975年のデビューから1983年にアルバム「狼少年 wolf boy」をリリースし、ライブを行ったりと精力的な活動を続けておられたのですが、そのまま活動休止となり、歌手活動を引退され、主婦業に専念されていますね。

シンガーソングライターとしての活動はわずか8年なんですよね。

僕自身もリアルタイムで彼女の音楽を聴いていた訳ではなく、1993年の話題となったドラマ「高校教師」での主題歌に起用されたことで知りましたが、そういう人がほとんどじゃないですかね?

「高校教師」は脚本:”野島伸司”さん、主演:”真田広之”さん、”桜井幸子”さんと当時としてはかなり新鮮な「教師と生徒の恋愛」、「同性愛」、「強姦」、「近親相姦」、「自殺」といった重いテーマを扱いながらもシンプルでかつ視聴者を虜にする純愛ドラマという感じで最高視聴率33%と大ヒットを記録しました。

僕もリアルタイムでハマって見てましたし、”野島伸司”さんが手がけた作品の中でも好きなほうですね。

そこで”野島伸司”さんが取り上げたのが、”森田童子”さんの楽曲なんですけど、絶望的に暗い、ややアングラな匂いを残しながらも、歌詞のインパクトが強い楽曲は古臭さなど、微塵も感じさせず、視聴者の深層にしっかり刻み込まれたと思いますね。

『男のくせに泣いてくれた』



『G線上にひとり』



『ぼくが君の思い出になってあげよう』



『君と淋しい風になる』



『君は変わっちゃたネ』



等の楽曲が挿入歌として使われていましたが、やっぱり一番のインパクトは主題歌である『ぼくたちの失敗』じゃないでしょうかね?



作詞作曲は勿論、”森田童子”さんなんですけど、アレンジは”六文銭”での活動でも知られるギタリストの”石川鷹彦”さんでシンプルなアレンジが独特の世界観を創りだすのに貢献されていますが、この曲はなんといっても”森田童子”さんの歌唱に尽きるのではないでしょうか?

語りかけるような朴訥とした歌い方なんですけど、その吐息のようでそれでいて心強さを感じる声の魅力は抜群で歌詞がグサリと心に刺さってくるのは唯一無二の個性とも言えるでしょう。

社会現象的に大ヒットしたドラマでリバイバルヒットし、90万枚ものセールスを記録したにも関わらず、本人は沈黙を守り続けたのは彼女の「美学」ですよね。

2003年に”藤木直人”さんと”上戸彩”さんによる新たな「高校教師」が放送され、またも『ぼくたちの失敗』が主題歌に採用され、「ぼくたちの失敗 森田童子ベストコレクション」が発売され、そこには歌詞を一部変更し、新たに制作された『ひとり遊び』が収録されたんですけどね。ドラマから10年の時を経て、様々な要請を受けた上での感謝のメッセージだったのかもしれませんけどね。

結果的には、これが彼女の最後の作品となってしまいましたね。

”野島伸司”さんに取り上げられることがなければ、彼女の存在はここまで世に知られることはなかったでしょう。一生アンダーグラウンドの世界で彼女は人生を終えたかもしれません。

僕自身は良い音楽、楽曲はいつか必ず評価されることがあると確信をしているのですが、こんな素晴らしい楽曲を、シンガーを知ることなく、終わっていたらと考えるとゾッとしますね。

いずれにせよ、彼女の残した素晴らしい音楽が今後も、聴き、歌い継がれていくのを願ってます。

ご冥福をお祈りします。

ぼくたちの失敗 森田童子/ベスト・コレクション
森田童子
ダブリューイーエー・ジャパン
1993-03-10


ぼくたちの失敗 森田童子ベストコレクション
森田童子
ユニバーサル ミュージック
2016-07-20