今回のアルバムレビューは”SHY”の1987年発表の3rd Album「Excess All Areas」を紹介します。

SHY 「Excess All Areas」

久々にアルバムレビューの記事を書きます。

いくらでも紹介したいアルバムはあるんですけど、何かきっかけがないと僕の約40年にわたる引き出しからポッと選びづらい感覚がありますね。出来る限り、1アーティストにつき、アルバム1枚、1曲のレビューを前提にしていることもあって、それでポッと浮かんでも、押し戻したりして、悩んじゃったりすることもあります。

ブログの中での自由度をあまり下げたくないので、そのあたりは一定のルールを敷きながら、たまにはそれを自分で破るのも楽しかったりするので、良いんですけどね。制限をなくしたら、”Rainbow”のアルバムとかは全部レビューしちゃいそうだし・・・。

今回は久々に自宅のCDラックを整理していたら、このCDが出てきてね。感慨深くなって、レビューを書くことにしたんですけどね。

それが”SHY”のアルバムなんですけどね。 (みんな知らないかな~)

ちなみに”SHY”について知ったのは「FM Station」のレビュー記事だったような気がします。高い評価だったのは勿論ですけど、「LA Metal」の代名詞的バンド”DOKKEN”の”Don Dokken”が制作に関わっていることも興味を惹いたように思います。

って、この時に素直に買っておけば良かったんだけどさ、スルーちゃって、このアルバムが後に超激レア盤になっちゃうんだよね。

”Leatherwolf”の記事にも書いているけど、京都にある中古CD屋さんで、本作を500円か1,000円くらいで帯付美品をGetしたんだよね。

【Review】 Leatherwolf Leatherwolf

その当時は帯を別管理していたんだけど、引っ越しの際に帯を全部なくしちゃって・・・(泣)。

猟盤ハンター系の人なら分かると思うけど、CDの帯って中古マーケットではメチャクチャ大事なんだよね。帯がついているかどうかで半値になるくらい値段に差がついちゃうんだよね。

その一件以降は必ず、CDブックレットの中に帯を締まって保管するクセがついたけどね。

別に僕は猟盤ハンターではないし、ただの音楽好きなので、そこまでこだわらないけど、自分が死んだときに家族がCDを売るとしたら、少しでもプラスになったほうが良いかななんてね。(僕が所有するHM/HR系の激レアCDを「BOOK OFF」に持ち込んだら、軒並み10円とかになっちゃうとは思うけどね、遺言でメタル専門店に持ち込むように書いておこうかな)

最近はすっかりCD音源をPCに取り込んで聴くことがほとんどだから、CD自体で音を聴く機会はホントに減ったから、別に処分しても良いんだけど、購入した時の思い入れも大きいからね。

女性には理解しづらいだろうけど、男性には所有欲みたいなモノってあるよね。(女性でもあるかもしれませんが)だからモノも捨てられないし、ついついフルコンプしたくなっちゃうんだよね。

って、話がかなり脱線しちゃいましたが、レビューに戻りますね。

”SHY”はイギリス出身の5人組メロディックハードロックバンドで1983年に「ONCE BITTEN...TWICE SHY」でデビューを果たします。(この1stは当初は日本盤リリースはなく、輸入盤屋では話題になったそうです、尚、数年後に日本でもリリースされます)

下記がオリジナルメンバーです。

Vocal:Tony Mills
Guitar:Steve Harris(”Iron Maiden”の”Steve Harris”とは別人です)
Bass:Roy Stephen Davis
Drums:Alan Kelly
Keyboards:Paddy McKenna

そこで話題になった”SHY”はメジャーレーベル「RCA」との契約を手にするんですよね。1985年にリリースされた「BRAVE THE STORM」はポップセンスは抜群ですが、「HM/HR」ファンからすると音作りがライト過ぎちゃいます。でも味わい深いハードポップの佳作だと思います。しかしながら、チャート的には失敗。そこで契約最後のアルバムとなる本作では、プロデューサーには”Neil Kernon”を起用、更に上述の”Don Dokken”との共作曲も含め、話題性も十分で背水の陣で臨んだんですけどねえ。イギリスではまあまあの成績を残しましたが、アメリカでのセールスは惨敗となってしまい、MCAへ移籍するんですね。

でも、この「Excess All Areas」は僕の人生にとって、非常に重要なアルバムになってますし、この完成度は凄まじいですし、若い音楽ファンが、令和の時代に聴いても十分にノックアウトされる内容だと自信を持ってオススメできますね。

では全曲レビューですね。

01.『Emergency』 

「★★★★★」。





メロディックハードロック史上に燦然と輝く名曲の一つだと思いますね。最初の荘厳なキーボードソロから叙情的でクサイメロディが連発し、スピード感も最高で”Tony Mills”の天を貫きそうなハイトーンも素晴らしいし、文句のつけようが全くありません。

これこそ慟哭のキラーチューンですね。”SHY”と言えば『Emergency』というメロハーファンは多い気がしますね。こんなに素晴らしい曲と出会えた奇跡に感謝したいくらいの凄まじい大名曲です。”Steve Harris”のギターソロも最高!

外部ライターによる楽曲で、あの”Michael Bolton”(!)と”Duane Hitchings”の共作です。”Michael Bolton”は歌唱力は勿論だけど、恐ろしいソングライターでもあるんだよね。

「★★★★★」でも足りないくらいの歴史的名曲です。是非、聴いて欲しいな。

そういや最近、”Michael Bolton”ってどうしてるんだろう?

02.『Can't Fight the Nights』

「★★★★★」。



『Emergency』の感動の後を受け、ベースソロからスタートし、メロディアスなフレーズが耳に突き刺さります。まさに出来の良いメロハー曲の典型ですよね。ミドルテンポではありますが、Bメロのメロディはかなり芳醇で素晴らしいです。

サビが若干単調なのが残念ではありますが、これはこれで十二分に名曲認定できるレベルだと思いますね。ブリッジ部分のギターもかなり良いフレーズでツボをガンガンに押してくれる感じで心地よいな。

名曲の直後、しかもアルバムの二曲目ってさ、今ひとつ印象に残りづらい曲だったり、いわゆる箸休め的な曲が多かったりするんだけど、流石です。文句なしで「★★★★★」ですね。

こういう何気ない曲の出来が、メロハー系のアルバムの評価にとっては実は大事なんだよね。1曲目のテンションを全く下げることなく、いい意味でクールダウンさせてくれるのが凄いね。

こちらも外部ライターの”Michael Jay”と”Steve Harris”、”Tony Mills”の共作ですね。

3.『Young Heart』

「★★★★」。



2曲目と同路線のミディアムテンポでメロディックな佳曲ですね。爽やかで良いメロディだし、クオリティも引き続き高いんだけど、ややアメリカンロックぽくて和んじゃうかもしれません。でも十二分に良い曲だよ。

ここでも”Steve Harris”は素晴らしいギターソロを紡いでくれてますね。

クレジットは”Harris, Hitchings, Mills”となってますので、”Steve Harris”メインで作ったんでしょうね。こちらも『Emergency』に引き続き、外部ライターの”Duane Hitchings”が参加してますね。

4.『Just Love Me』

「★★★」。



こちらも外部ライターの”John Parker”がメインで制作したであろうバラードです。分厚いコーラスも効いてますが、アルバム後半に収録されている珠玉のバラード『When the Love Is Over』に比べるとやや印象が薄いかな。

勿論、クオリティは高いし、メロディも悪くないんですけどね。全体的に抑揚がないので、メロハーにあんまり免疫のない「HM/HR」ファンにとっては聴いてて、後半はしんどくなるかもね。

5.『Break Down the Walls』

「★★★★」。





メロディックでおとなしめの曲が多いアルバムなのですが、骨太のロックを感じさせてくれる曲ですね。アルバムの中でもリードトラック的な扱いをされてたと思います。ある意味、”Don Dokken”が関わったのがウリだったアルバムですが、全体の流れ、テイストには合ってない気もしますね。

それでも”Steve Harris”のメロディアスなギターソロに完全に昇天しちゃいそうになるので、★一つおまけしました。

ここからはLPで言うところのB面ですね。

6.『Under Fire』

「★★★★」。



6曲目にして、ようやく外部ライターが参加していない、メンバーのみで制作された楽曲です。

これがメロディも良いし、それでいて展開も面白くて素晴らしいんだよね。サビの『Under Fire』のところの展開はクセになるよね。

”Tony Mills”のハイトーンも十分に堪能できる場面もあって、隠れた名曲と言えるんじゃないかな。

7.『Devil Woman』

「★★★」。



またも外部ライターによるペンでクレジットは”Terry Britten, Christine Holmes”となっていますが、そもそもこの曲って、”Cliff Richard”のカバーらしいです。(僕も改めて今回レビューを書くにあたって、知りました)

オールディーズ特有の古臭い感じは一切ないし、キレの良い演奏に、”Tony Mills”の歌唱も素晴らしいね。

本アルバムの中では、まあまあの出来じゃないかな。

8.『Talk to Me』

「★★★★★」。





ドラマティックな曲展開を持っていて、フックが強めで僕はかなり好きな曲ですね。サビが単調な作りと言えばそうなんだけど、全体的に哀愁が節々に残っているのが魅力ですね。

いかにも煮え切らないブリティッシュハードポップって感じですけど、この哀愁が堪らないし、聴くごとにハマっちゃう魅力があるよね。

これは聴いてほしいな。

9.『When the Love Is Over』

「★★★★★」。





「ザ・哀愁」って感じの泣きのバラード。

これは本当に素晴らしい出来のバラードだと思います。某評価サイトで誰もこの曲にコメントも評価もしてなくて、悲しくなったな。あまり人気ないのかな・・・なんてね。

このサビのメロディは演歌? ブルーズ?ってくらいの哀愁度タップリで僕はかなり好きだなあ。「HM/HR」系のお好みテープのバラード編では良く収録していた記憶があります。”Tony Mills”の変幻自在のVocalもこの名バラードに良いフックをつけてくれているように思いますね。

尚、こちらも外部ライターの”Michael Jay”メインで”Steve Harris”、”Tony Mills”も参加してます。

ギターソロが更に強烈だったら、凄いことになってたような気もしますけどね。

10.『Telephone』

「★★★★★」。





最後もスピード感のあるメロハー曲というのは良い構成だね。

『Emergency』のような高貴さを感じさせるくらいの慟哭のメロディもないし、アメリカン風味もあるポップさで、メロディもそこまでフックは強烈ではないけど、”Steve Harris”のギターソロが凄まじい出来なのもあって、結果、圧倒されちゃいますね。

こちらの曲のクレジットは”Harris, Kelly”で二曲目となるメンバーのみ制作の楽曲ですね。

最後の最後で気持ちのいい爽快感でアルバムを聴き終われるし、リピートしたくなるんだよね。こういう作りになっているのも名作の証拠だよね。

さて、このアルバム自体の本編はここまでなんですが、再発盤には3曲のボーナストラックも収録されていて、それがいずれも素晴らしい出来なので、こちらも紹介しておきますね。

Bonus Track:『Run For Cover』

「★★★」。



これは紙ジャケ盤の時に初めて収録されたんだっけ? まあ、いかにものボートラっぽい曲ではあると思いますね。ミドルテンポの古式ロックっぽい雰囲気で彼らにしてはメロディ自体はそこそこの出来かな。

でも”Steve”のギターが素晴らしいので、平均以下までは落とせないかな。聴いて損はないと思うけどね。

Bonus Track:『Only You』

「★★★★」。



こちらもボーナストラックのミドルテンポの楽曲ですね。Bメロからサビへの展開が良いし、サビも日本人には絶対好まれそうな哀メロでグッと来ます。

AメロでのVocalがフワフワしている感じるのを除けば、完璧な曲の一つと言っても良いかもね。まあ、そのあたりもB級感はあるかもしれないけどね。良いメロディが楽しめるので、個人的には文句なしで「★★★★★」かな。

北欧メタルっぽい哀愁が良いよね。

Bonus Track:『Don't Wanna Lose Your Love』

「★★★★★」。



元々は『YOUNG HEART』の12インチシングルの収録曲ですね。

これが何故、Bonus Trackだったのか意味が分からないほど、良質のメロハー曲なんだよね。この哀メロ炸裂のこの楽曲はアルバムに正式収録されていてもキラーチューンとして、トップクラスの評価を得ていた可能性もあるだけに疑問が先行しちゃうけどね。

まあ、この手の曲は当時のアメリカマーケットでは売れないだろうけど・・・。売れようが売れまいが、良いものは文句なく良い! ”Tony”のVocalも”Steve”のギターソロも最高だね。

この曲を聴かずして死ぬなかれ・・・とまでは言わないけど、どうせなら収録されている再発盤を買おうね。

ある意味、メジャーレーベル「RCA」の総力を結集し、売るために外部ライターの素晴らしい楽曲を採用し、バンドとしては不本意なアルバムかもしれませんが、完成度は抜群です。

曲自体はメロハーの枠にスッポリ収まる曲ばかりではありますが、微妙にトーンが違っているのも面白いし、飽きさせないのかもしれません。”Tony Mills”のハイトーンボーカルに耳が行きがちではありますが、”Steve Harris”のギターソロも素晴らしいし、改めて再評価して欲しいですね。

”SHY”はその後もアルバムをリリースしますが、セールス的にはパッとした成績を残せず、バンドは1995年以降は実質解散状態へ。その後、ライブ作品や過去のレアトラックなどがリリースされ、1999年に復活を果たすのですが、出来の良いハードポップであることは変わりませんでしたが、本作で感じられたようなマジックはチョコっとしか感じられなかったですね。(チョコっとでも素晴らしいけどね)

その後はバンドの看板でもあった”Tony Mills”が脱退(”TNT”に加入したのは本気で驚いたけどね)、代わりに優秀なVocalistである”Lee Small”が加入し、アルバムの出来も徐々に良くなってきた中、グループのメインソングライターである”Steve Harris”が脳腫瘍で他界。遺作となった「SHY」は名盤となりました。(全盛期よりも音はハードですが、かなり良い出来です)

最も美しいメロハーを演奏したバンドが最高のラストを飾った訳で現実はドラマ以上に劇的だったりするんですよね。

いつまで経っても僕のメロハーを聴く基準は”SHY”であり、これからも「Excess All Areas」、「SHY」といった名盤と比較し続けるんだろうと思います。

P.S.”SHY”の作品はかなりのプレミアがついているのもあると思いますが、再発盤なら、専門店、中古CD店を回って探してみれば見つかると思いますよ。ボートラ付を是非!

イクセス・オール・エリアズ
シャイ
BMGビクター
1996-05-22


シャイ
シャイ
マーキー・インコーポレイティド
2011-09-21


Brave the Storm
Shy
Zoom Club
2002-03-09


Excess All Areas
Shy
Zoom Club
2002-03-09