今回の名盤レビューは”Heavens Gate”の1991年発表の2nd Albumである「Livin’ in Hysteria」を紹介します。

久しぶりの名盤レビューの記事です。
自分にとって一番好きな音楽ジャンルは「HM/HR」であるのは変わりませんが、アルバム1枚楽しめる作品と言うのはそんなに毎年コンスタントに出てくる訳ではありませんので、名盤レビューは数が増えていかないのが残念なので、名曲レビューも合わせて書いてます。
キラーチューンが数曲含まれる「名盤」も多かったりしますが、真の「名盤」はアルバム全体が高水準でまとまっていて、その中でもギラリと存在感のあるキラーチューンも含まれていて、トータルで好きと言えるアルバムを指すと思います。
今回は後者にあたる「名盤」です。
某専門誌の表紙を飾ったこともある”Heavens Gate”の名盤を紹介します。
”Heavens Gate”はドイツのMelodic Power Metalバンドであり、いわゆる「ジャーマンメタル」の代表的バンドと言えるでしょう。
僕が彼らを知ったのは”キャプテン 和田誠”さんの本だったか、ラジオで強力にプッシュされていたのを知って、輸入盤屋でデビューアルバム「In Control」を購入したのが最初です。
冒頭の「The Gate」が「ジャーマンメタル」の王道と言えるクラシカルで荘厳なオープニングで期待したのですが、タイトルトラックである『In Control』が典型的なスピードメタルではなく、「え、これでジャーマン?」なんて思った記憶があります。何度か聴き込むごとに、そのリフの重さ、カッコ良さに打ちのめされていきましたが、当時の輸入盤屋でこぞって書かれていた”Helloween"フォロワーの肩書で売られていた”Blind Guardian”、”Rage"、”Scanner”、”Chroming Rose”等とは。異なる音楽性を持つバンドだと認識しました。
当時は”Helloween”、”Blind Guardian”の疾走チューンがお気に入りだったので、『In Control』もまずまずのスピードで重めで悪くないけど、飛び抜けた良い曲がないな~なんて思ってました。今改めて聴いても『Tyrants』はなかなかのスピードチューンだと思うし、『Shadows』なんて哀愁度抜群の叙情バラードも素晴らしい出来なんだけどね。
B級とまでは言わないし、典型的な「ジャーマンメタル」でもないけど、チェックすべきバンドだなとは思いましたね。あとは”Thomas Rettke”が当時の「ジャーマンメタル」界では、かなり上手いシンガーだとも認識はしましたけどね。バンド自体はそんなに好きにはなれなかったな~。
その僕が目の色を少し変えたのが、ミニアルバム「Open the Gate and Watch!」ですね。
オープニングを飾る『Open the Gate and Watch!』~『Touch the Light』を聴いたときに、スゲー成長したと思ったんですよね。
若干スペーシーで音が軽く感じるかもしれないけど、この疾走感とメロメロの展開がたまんなく好きになって、これは期待できるバンドに成長したなあと思いましたね。
ミドルテンポでメロディ展開が秀逸な『Picture In The Mirror』を当時の”キャプテン”は良くラジオで取り上げてたけど、僕にとってはこの『Touch the Light』一択でメチャクチャ聴いてましたね。
それでも最後のサビ前のカウベルは最初聴いたときはズッコケちゃったんだけど、このユニークさも彼らの魅力なんでしょうね。聴き慣れた今となってはなくてはならない音になりましたけどね。
そんな彼らが満を持してニューアルバムを出した訳ですが、「化けた」って思いましたよ。とにかく曲の完成度が高くて、バラエティもあって、『Touch the Light』を上回る疾走チューンまで収録されているんですから、降参です。
では全曲レビュー行きましょう!
01.『Livin’ in Hysteria』
「★★★★★」
タイトルトラックであり、疾走曲です。オープニングのSEはありませんが、”Thomas Rettke”の力強い歌唱が素晴らしいですね。しかし、コーラスを絡めてのブリッジの作り方もユニークですね、それでいてツインリードの奏でるソロも素晴らしいね。典型的な「ジャーマンメタル」のクサメロではなく、もっと正統的なメロディですけどね。これは今聴いても十分カッコいいね~。文句なしの満点評価です。
02.『We Got the Time』
「★★★★」
だいたい良いアルバムでも二曲目でテンションが下がるものですが、この名盤はそんなことはありません。
スピード感もあって、それでいて複雑な構成があって、キャッチーなメロディが踊る、なかなかの佳曲です。聴き込むごとにかなり味わいの出る名曲だと思いますね。
ツインリードソロもカッコいいし、「★★★★★」でも良かったかもね。
03.『The Neverending Fire』
「★★★★」
叙情的なメロディが舞うミドルテンポの楽曲です。メロディの良さもあってか、十二分に楽しめる楽曲になっており、スピードが下がっても、高いテンションは維持されたままですね。
04.『Empty Way to Nowhere』
「★★★★」
三連のリズムが心地よいミドルテンポの楽曲。勇壮なメロディが楽しめますよ。
05.『Fredless』
「★★★★★」
インスト曲ですが、これは「HR/HR」史に残る最強のインスト曲だと思います。この緊張感、キレ・・・今聴いても身震いしちゃいますね。
06.『Can’t Stop Rockin`』
「★★★★」
彼らのアルバムには1曲は収録されている典型的なヘヴィロックチューンですね。ミニアルバム収録の『Rock On』にも近いですが、重めのドラムが心地良いし、ノレますね。
07.『Flashes』
「★★★★」
ややメロディ展開が単調なのが残念ですが、”Judas Priest”っぽい疾走チューンですね。ストレートですが、カッコいいのはカッコいいんですけどね。
「★★★★★」
彼ら屈指の哀メロを持つファストチューン。「ジャーマンメタル」、「メロディックパワーメタル」のマニアを一撃でノックアウトできる曲。僕も一発でやられましたけどね・・・。
メロメロで疾走していて、彼ら最強の1曲と言えますし、「ジャーマンメタル」の理想形の1曲でしょう。比較対象としては”Helloween”の『Eagle Fly Free』や”Gamma Ray”の『Lust For Life』、”Rage”の『Invisible Horizon』あたりになってしまうレベルの大名曲です。まさにこれを聴かずに死ねない名曲。
これがSEからの2曲目という典型的な構成ではなく、ラストに置いたのもこのアルバムが個性的であり、素晴らしい出来にしているんだと思います。聴いた後に「サイコー」って思えますよね。
一縷の隙も無いホントに完璧なアルバムだと思います。その意味でも「ジャーマンメタル」、「メロディックパワーメタル」の金字塔的なアルバムであり、このクオリティに打ちひしがれて欲しいですね。
惜しむらくは音質ですね。(リリース当時も感じてましたけど・・・)
このアルバムで一気に名前を売った後、彼らはミニアルバム「More Hysteria」をリリースするんですが、出来の良いファストチューン3曲に『Best Days of My Life』のアコースティックバージョンでメタルファンの期待を更に膨らませたんですよね~。そして満を持してフルアルバム「Hell for Sale!」をリリースし、それがあまり評価されなかった、どころか酷評されちゃったんですよね~。
でも割と僕は「Hell for Sale!」好きなんですけどね。日本を歌ってくれた『Rising Sun』は明るめですが、なかなかの出来のファストチューンですし、そもそも「ジャーマンメタル」の枠に収まらない彼らの音楽性が高いクオリティで表現されていると思いますが、『America』なんて普通のハードロックが収録されていたり、カバーの『Always Look on the Bright Side of Life』(良いカバーだけどね)等、純度の高いメタルファンに総スカンをくらっていたのが残念です。
でもそれ以降にリリースしたアルバムよりは遥かに高品質だと思うので、是非、聴いてみて欲しいな。(隠れた名盤とまではいわないけど、そんなに批判されるほど悪い作品ではないし、試して欲しいな)
いずれにせよ、「Livin’ in Hysteria」と「More Hysteria」は全メタル必聴のアイテムだと思いますので、「ジャーマンメタル」、「メロディックパワーメタル」を毛嫌いされるようなファンも是非、聴いてみて欲しいです。
化けたバンドによる一世一代の名盤。
P.S.メンバーの”Sascha Paeth”は名プロデューサーに成り上りましたが、”Thomas Rettke”は何をしているんでしょうかね?

久しぶりの名盤レビューの記事です。
自分にとって一番好きな音楽ジャンルは「HM/HR」であるのは変わりませんが、アルバム1枚楽しめる作品と言うのはそんなに毎年コンスタントに出てくる訳ではありませんので、名盤レビューは数が増えていかないのが残念なので、名曲レビューも合わせて書いてます。
キラーチューンが数曲含まれる「名盤」も多かったりしますが、真の「名盤」はアルバム全体が高水準でまとまっていて、その中でもギラリと存在感のあるキラーチューンも含まれていて、トータルで好きと言えるアルバムを指すと思います。
今回は後者にあたる「名盤」です。
某専門誌の表紙を飾ったこともある”Heavens Gate”の名盤を紹介します。
”Heavens Gate”はドイツのMelodic Power Metalバンドであり、いわゆる「ジャーマンメタル」の代表的バンドと言えるでしょう。
僕が彼らを知ったのは”キャプテン 和田誠”さんの本だったか、ラジオで強力にプッシュされていたのを知って、輸入盤屋でデビューアルバム「In Control」を購入したのが最初です。
冒頭の「The Gate」が「ジャーマンメタル」の王道と言えるクラシカルで荘厳なオープニングで期待したのですが、タイトルトラックである『In Control』が典型的なスピードメタルではなく、「え、これでジャーマン?」なんて思った記憶があります。何度か聴き込むごとに、そのリフの重さ、カッコ良さに打ちのめされていきましたが、当時の輸入盤屋でこぞって書かれていた”Helloween"フォロワーの肩書で売られていた”Blind Guardian”、”Rage"、”Scanner”、”Chroming Rose”等とは。異なる音楽性を持つバンドだと認識しました。
【名盤】 Helloween Better Than Raw
【名盤】 Blind Guardian Tales From The Twilight World」
http://burning.doorblog.jp/archives/43975899.html
【名盤】 Rage Secrets in a Weird World
【名盤】 Chroming Rose 「Pressure」
”Scanner”は未レビューか、どっかで書こう。
当時は”Helloween”、”Blind Guardian”の疾走チューンがお気に入りだったので、『In Control』もまずまずのスピードで重めで悪くないけど、飛び抜けた良い曲がないな~なんて思ってました。今改めて聴いても『Tyrants』はなかなかのスピードチューンだと思うし、『Shadows』なんて哀愁度抜群の叙情バラードも素晴らしい出来なんだけどね。
B級とまでは言わないし、典型的な「ジャーマンメタル」でもないけど、チェックすべきバンドだなとは思いましたね。あとは”Thomas Rettke”が当時の「ジャーマンメタル」界では、かなり上手いシンガーだとも認識はしましたけどね。バンド自体はそんなに好きにはなれなかったな~。
その僕が目の色を少し変えたのが、ミニアルバム「Open the Gate and Watch!」ですね。
オープニングを飾る『Open the Gate and Watch!』~『Touch the Light』を聴いたときに、スゲー成長したと思ったんですよね。
若干スペーシーで音が軽く感じるかもしれないけど、この疾走感とメロメロの展開がたまんなく好きになって、これは期待できるバンドに成長したなあと思いましたね。
ミドルテンポでメロディ展開が秀逸な『Picture In The Mirror』を当時の”キャプテン”は良くラジオで取り上げてたけど、僕にとってはこの『Touch the Light』一択でメチャクチャ聴いてましたね。
それでも最後のサビ前のカウベルは最初聴いたときはズッコケちゃったんだけど、このユニークさも彼らの魅力なんでしょうね。聴き慣れた今となってはなくてはならない音になりましたけどね。
そんな彼らが満を持してニューアルバムを出した訳ですが、「化けた」って思いましたよ。とにかく曲の完成度が高くて、バラエティもあって、『Touch the Light』を上回る疾走チューンまで収録されているんですから、降参です。
では全曲レビュー行きましょう!
01.『Livin’ in Hysteria』
「★★★★★」
タイトルトラックであり、疾走曲です。オープニングのSEはありませんが、”Thomas Rettke”の力強い歌唱が素晴らしいですね。しかし、コーラスを絡めてのブリッジの作り方もユニークですね、それでいてツインリードの奏でるソロも素晴らしいね。典型的な「ジャーマンメタル」のクサメロではなく、もっと正統的なメロディですけどね。これは今聴いても十分カッコいいね~。文句なしの満点評価です。
02.『We Got the Time』
「★★★★」
だいたい良いアルバムでも二曲目でテンションが下がるものですが、この名盤はそんなことはありません。
スピード感もあって、それでいて複雑な構成があって、キャッチーなメロディが踊る、なかなかの佳曲です。聴き込むごとにかなり味わいの出る名曲だと思いますね。
ツインリードソロもカッコいいし、「★★★★★」でも良かったかもね。
03.『The Neverending Fire』
「★★★★」
叙情的なメロディが舞うミドルテンポの楽曲です。メロディの良さもあってか、十二分に楽しめる楽曲になっており、スピードが下がっても、高いテンションは維持されたままですね。
04.『Empty Way to Nowhere』
「★★★★」
三連のリズムが心地よいミドルテンポの楽曲。勇壮なメロディが楽しめますよ。
05.『Fredless』
「★★★★★」
インスト曲ですが、これは「HR/HR」史に残る最強のインスト曲だと思います。この緊張感、キレ・・・今聴いても身震いしちゃいますね。
06.『Can’t Stop Rockin`』
「★★★★」
彼らのアルバムには1曲は収録されている典型的なヘヴィロックチューンですね。ミニアルバム収録の『Rock On』にも近いですが、重めのドラムが心地良いし、ノレますね。
07.『Flashes』
「★★★★」
ややメロディ展開が単調なのが残念ですが、”Judas Priest”っぽい疾走チューンですね。ストレートですが、カッコいいのはカッコいいんですけどね。
08.『Best Days of My Life』
「★★★★★」
彼ら屈指の名バラードですね。このバラードが収録されていることで、このアルバムの完成度が更に高まったように個人的には捉えています。ミニアルバム「More Hysteria」には同曲のアコースティックバージョンが収録されてますが、そちらも良い出来ですよね。
09.『We Want It All』
「★★★★」
哀愁のギターから始まるミドルテンポの楽曲。「ジャーマンメタル」どころか、メタルっぽさも薄いものの、これがかなりの佳曲なんですよね。
良いアルバムはやっぱりこういうミドルテンポの佳曲がファストチューンやバラードの脇を固めるのが重要だと思いますね。
10.『Gate of Heaven』
「★★★★★」
彼ら屈指の名バラードですね。このバラードが収録されていることで、このアルバムの完成度が更に高まったように個人的には捉えています。ミニアルバム「More Hysteria」には同曲のアコースティックバージョンが収録されてますが、そちらも良い出来ですよね。
09.『We Want It All』
「★★★★」
哀愁のギターから始まるミドルテンポの楽曲。「ジャーマンメタル」どころか、メタルっぽさも薄いものの、これがかなりの佳曲なんですよね。
良いアルバムはやっぱりこういうミドルテンポの佳曲がファストチューンやバラードの脇を固めるのが重要だと思いますね。
10.『Gate of Heaven』
「★★★★★」
彼ら屈指の哀メロを持つファストチューン。「ジャーマンメタル」、「メロディックパワーメタル」のマニアを一撃でノックアウトできる曲。僕も一発でやられましたけどね・・・。
メロメロで疾走していて、彼ら最強の1曲と言えますし、「ジャーマンメタル」の理想形の1曲でしょう。比較対象としては”Helloween”の『Eagle Fly Free』や”Gamma Ray”の『Lust For Life』、”Rage”の『Invisible Horizon』あたりになってしまうレベルの大名曲です。まさにこれを聴かずに死ねない名曲。
これがSEからの2曲目という典型的な構成ではなく、ラストに置いたのもこのアルバムが個性的であり、素晴らしい出来にしているんだと思います。聴いた後に「サイコー」って思えますよね。
一縷の隙も無いホントに完璧なアルバムだと思います。その意味でも「ジャーマンメタル」、「メロディックパワーメタル」の金字塔的なアルバムであり、このクオリティに打ちひしがれて欲しいですね。
惜しむらくは音質ですね。(リリース当時も感じてましたけど・・・)
このアルバムで一気に名前を売った後、彼らはミニアルバム「More Hysteria」をリリースするんですが、出来の良いファストチューン3曲に『Best Days of My Life』のアコースティックバージョンでメタルファンの期待を更に膨らませたんですよね~。そして満を持してフルアルバム「Hell for Sale!」をリリースし、それがあまり評価されなかった、どころか酷評されちゃったんですよね~。
でも割と僕は「Hell for Sale!」好きなんですけどね。日本を歌ってくれた『Rising Sun』は明るめですが、なかなかの出来のファストチューンですし、そもそも「ジャーマンメタル」の枠に収まらない彼らの音楽性が高いクオリティで表現されていると思いますが、『America』なんて普通のハードロックが収録されていたり、カバーの『Always Look on the Bright Side of Life』(良いカバーだけどね)等、純度の高いメタルファンに総スカンをくらっていたのが残念です。
でもそれ以降にリリースしたアルバムよりは遥かに高品質だと思うので、是非、聴いてみて欲しいな。(隠れた名盤とまではいわないけど、そんなに批判されるほど悪い作品ではないし、試して欲しいな)
いずれにせよ、「Livin’ in Hysteria」と「More Hysteria」は全メタル必聴のアイテムだと思いますので、「ジャーマンメタル」、「メロディックパワーメタル」を毛嫌いされるようなファンも是非、聴いてみて欲しいです。
化けたバンドによる一世一代の名盤。
P.S.メンバーの”Sascha Paeth”は名プロデューサーに成り上りましたが、”Thomas Rettke”は何をしているんでしょうかね?